品 番 | タ イ ト ル | 演 奏 | 収 録 曲 |
CD86016 | Rene DEFOSSEZ(1905-1988) THE CONQUEST OF SPACE | ベルギーガイド吹奏楽団 | ベルギーの作曲家ルネ・ドフォッセ:組曲「宇宙征服」 |
CD87012 | FLANDERS MUSIC FOR SYMPHONIC BAND | ベルギーガイド吹奏楽団 | フランドルの音楽集;(Karel MIRY/1823-1889):Flemish Community Anthem,(Peter BENOIT/1834-1901):"Troisieme Fantaisie",(Arthur DE GREFF/1862-1940):Four Old Flemish Chants-Excepts,etcetera. |
CD87025 | JOHANN SEBASTIAN BACH(1685-1750) | ベルギーガイド吹奏楽団 | J.S.バッハの作品集。トッカータとフーガ:ニ短調、オルガン協奏曲第3番ハ長調ほか |
CD87037 | Ida GOTKOVSKY-Works for Symphonic Band | ベルギーガイド吹奏楽団 | フランスの女性作曲家イダ ゴトコフスキの作品から:吹奏楽のための協奏曲 、吹奏楽のための”火の詩”ほか |
CD87040 | BELGIAN MILITARY MARCHES Vol.1 Cavalry Marches | ベルギーガイド吹奏楽団 | 騎兵隊行進曲21曲と騎兵隊信号ラッパ26 |
CD87047 | BELGIAN WORKS FOR SYMPHONIC BAND | ベルギーガイド吹奏楽団 | ベルギーの吹奏楽曲集;ギルソン(Paul GILSON)/1865-1942):「リチャード三世」序曲、アブシル(Jean ABSIL/1893-1974):ルーマニア組曲、(Victor LEGLEY/1915-):交響曲第7番、(Jules STRENS/1893-1971):Dance Funambulesque |
CD87048 | Piotr I.TCHAIKOVSKY(1840-1893) | ベルギーガイド吹奏楽団 | ロシアの作曲家チャイコフスキの作品から:序曲1812年、ロミオとジュリエッ ト、イタリア奇想曲、スラブ行進曲 |
CD87055 | BELGIAN MILITARY MARCHES Vol.2 Infantry Marches | ベルギーガイド吹奏楽団 | 歩兵隊行進曲22曲 |
CD87057 | BELGIAN WORKS FOR SYMPHONIC BAND- Vol.2 | ベルギーガイド吹奏楽団 | ベルギーの吹奏楽曲集第2巻;V.LEGLEY:Petite Introduction pour une Fete Royale,Jean-Marie SIMONIS(1931-):ECLOSIONS,Jean LOUEL(1914-):Symphony No.4-"Syrinx",Francois GLORIEUX(1932-):Movements |
CD87058 | Ida GOTKOVSKY(1933) | ベルギーガイド吹奏楽団 | イダ ゴトコフスキ(1933-)の作品:ファンファーレ、スプリングシンフォニー、ブリリアントシンフォニー、森の歌 |
CD87070 | BELGIAN MILITARY MARCHES Vol.3 National Anthem - Artillery Marches and others | ベルギーガイド吹奏楽団 | ベルギー国歌、砲兵隊行進曲、空軍行進曲、海軍行進曲、憲兵隊行進曲ほか |
CD87075 | Nicolai RIMSKY-KORSAKOV(1844-1908) | ベルギーガイド吹奏楽団 | リムスキー・コルサコフの作品から;クラリネットと軍楽隊のための協奏曲変ホ長調、グリンカの主題によるオーボエと軍楽隊のための変奏曲ト短調、トロンボーンと軍楽隊のための協奏曲変ロ長調、交響組曲「シェヘラザード」 |
CD87076 | "NUTS" | ベルギーガイド吹奏楽団 | アメリカ人作曲家特集:コープランド:市民のためのファンファーレ、ガーシ ュイン:ラプソディー・イン・ブルー、バーンスタイン:カンディード序曲、「 街で」より3つのダンスエピソード、グールド:ジェリコ、C.T.スミス:フェス ティヴァル・ヴァリエーション |
CD87096 | Jean ABSIL(1893-1974) | ベルギーガイド吹奏楽団 | ベルギーの作曲家アブシルの作品から:ブラジル狂詩曲作品81、ブルガリア舞曲集作品103ほか |
CD87105 | FESTIVE OVERTURES | ベルギーガイド吹奏楽団 | ショスタコーヴィチ:祝典序曲、ラロ:イスの王様序曲、メンデルスゾーン: 序曲ルイブラス、ベルディ:シチリア島の夕べの祈り序曲ほか |
CD87107 | SPANISH MUSIC | ベルギーガイド吹奏楽団 | スペインの作曲家の作品から:グラナドス:スペイン舞曲集、ファリャ:三角 帽子より、ブロトンス:バンドのための交響的断章第一番"Rebroll"ほか |
CD86016
このCDを「吹奏楽もの」として期待して買った人は、多分ボクみたいに最初は落胆・後悔するんじゃないかな。タイトルは壮大なんだけど、曲自体はきわめて古典的なつくりだし、シンセサイザー(?)だか、ただ単に録音テープを早回ししたものを吹奏楽の生演奏にかぶせただけなのかよくわからないけど、未来的とはとても言えない、とにかく、古いロボットもの映画のような印象なんです。
このあいだまでは、ここでこのCD評をもっと過激に以下のように書いていました。
『こういう古典的前衛作品(もちろんイヤミだ)を理解できないボクがバカなのよ、きっと。演奏はうまいし、指揮者のイヴォン・デュセーヌの解釈もきっといいんでしょう。己の音楽的度量の狭さを悔やみます。
どこかうまーいアマチュア吹奏楽団体が、全日本吹奏楽コンクールの自由曲かなんかでやれば絶対うける!昔、埼玉の市立川口高校がこのコンクールで、指揮の信国先生の「吹奏楽の無言の変革」から「問い」って曲やって、最初の年は「新鮮な解釈」とか言われて金賞とったが翌年同じ曲の「そこに人の影はなかった」って曲やったら、審査員の、あんまり有名でもない指揮者から「プロパガンダだ」とかなんとかケチつけられて、演奏云々よりも指導者の見識にたいしてプロの音楽家たちが噛みついて(もっと平たく言うと、高校の音楽教師ごとき素人がこの場でプロの俺さまたちに自作を披露するなんて100年早いわ!と一喝して)銀賞になったという、今で言ういじめみたいなことがあった。
もしあの時、市立川口高校が信国氏の曲ではなくこの曲を演奏していたら、それもドフォッセ作曲ではなく信国氏作曲という触込みでやっていたら、日本クラシック音楽界で活躍する審査員諸氏は果たして正当な評価を下してくれたであろうか?もしかしたら...(これも嫌みだ)
タイトルからしてどうもやばそうだと思ったが、これでは2000円払って買った甲斐がないではないか...マニアには垂涎の一枚!(これが厭味かどうかは買って聴いてみてあなたが判断してください)』
でも、でも、です。今日、このHPの内容改訂にあたり、もう一度よく聴いてみましたら、違うんです、印象が。なんて言ったらいいのかなぁ。その古臭い曲のつくりに妙な安心感があるんです。それは、ガブリール・ポポーフの交響曲第1番の第1楽章のような、アヴァンギャルドな緊張感とは全く対峙するような感じで...。
こういう作品が生きているところに、ヨーロッパの吹奏楽の意義があるといっても過言ではないと思います。
(1997年初稿、1998年1月4日改稿)
CD87012
私たちにはなじみの薄いフランダースの作品集。現代曲っぽいのも含まれていますが、基本的には全て「歌をうたう」ような、わかりやすいメロディの曲ばかり集められています。
CDジャケット表紙は、Flemish Lionが描かれ、1曲目から、Flemish Community Anthemなんぞが勇ましく流れるさまなど、ガイドのメンバーは殆どがフラマン人なのだろうか、このレコーディングは、ワロン人とフラマン人の抗争で火に油を注ぐものなんじゃないだろうかなどと勝手に心配してしまったりします。(注:ベルギーは、言語問題を主としたオランダ系フラマン人とフランス系ワロン人の民族対立がある。)
まぁ、それはともかくとして、収録曲自体は、どちらかというと「興味のある人」向きかな、という感じで、珍しさ・オタク度を考慮に入れなければ、陳腐な感じで特段お薦めする内容とは思いません。でも、演奏はうまいので、お金に余裕があれば買っておきたい1枚です。
(1996年初稿)
CD87025
素晴らしい1枚。カテドラルでの演奏を想起させる残響もさることながら、プレイヤーひとり一人の技量に支えられた「懐深い」演奏に、ちょっと感動させられてしまったりするのは、ボクだけでしょうか。
「懐深い」っていうのは、音楽的な上っ面だけの話ではなくて、「キリストの十字架の上に生かされている」人たちの、神への感謝の気持ちが伝わってくるという意味です(プレイヤー全員仏教徒だったりして)。
しょっぱな、トッカータとフーガ:ニ短調は、一般に出回っている編曲と違い、オルガンらしさを追求することなく、むしろ吹奏楽の持ち味を十二分に堪能させる目的を持ったもので、これが奏功し、吹奏楽でバッハをやることの意義を知らしめてくれる演奏になっています。
収録曲中、日本でおなじみ作曲家リード(A.REED)が編曲した作品(Choral《Shafe Konnen Sicher Weiden》from the Cantata No.208)などは、他編曲者の収録曲と全く趣を異にし、さわやかさと軽やかさで、とてもいい方向にリードらしさが発揮されています。
パンチの効いた現代曲に飽きてしまったあなたに、このCDは最適!音楽の父がやさしくクラシックの原点を語りかけてくれます。
(1997年初稿)
CD87037
その筋じゃ有名な方なのかもしれませんが、イダ ゴトコフスキって人、ボクはこのCD聴くまでまったく知りませんでした(恥)。その野太い響きと作品のドラマ性にまずまいりました。この人の曲の強奏部に男の魅力を感じた、と書きたかったのですが、なんと作曲者は昔はベッピンさんともてはやされたであろう女性だったのでした(写真参照)。
いろいろ聴いてみると、作品にワンパターン的なところもあるけど、吹奏楽の作曲家ってみんな創造力欠如のワンパターン作品が多いから、この点は我慢我慢。
収録してある曲のうち、サキソフォーンと吹奏楽のための協奏曲はアルトサックス独奏のLECLERCQ(知らない人なので音訳できず)がちょっと冷たくてなかなかいい味を出しています。吹奏楽のための「火の詩」は、録音のバランスもよく、ちょっと「お手本」って感じです。終盤の大団円は圧巻!!!
こりゃ、昨年(96年)聴いたパリギャルドの来日公演よりずっとうまい!と本気で思った一枚です。指揮者のノルベルト・ノージのセンスもこの収録曲に関しては○。
(1997年初稿)
CD87040
CD87055
CD87070
この3枚はすべてベルギーの軍隊マーチ集。ベルギーの軍隊の行進曲なんて滅多に聴けるもんではないぞ、そういったマニア度でプラス1、演奏のうまさでプラス1の評価。
1枚目の冒頭を聴いてパリ・ギャルドレピュブリケーヌ吹奏楽団のレコードを想起し、もっと聴き込んでいくとちょっと警視庁や東京消防庁吹奏楽団の青空コンサートの響きも感じたりして、やっぱり軍楽隊にはこういう曲がいちばんむいているんだなぁという思いを強くした次第です。好みの問題でしょうが、私はこの3枚の中では、Vol.1 が収録曲の音楽的な中味も録音ミキシングの程度いちばんいいように思います(クラリネットの柔らかい音色が最高!)。恥ずかしながらベルギー国歌はこのVol.3 で覚えさせてもらいました。いい曲ですね。魔弾の射手の狩人の合唱をアレンジした行進曲もあったりして(Vol.2 の4曲目)なかなか楽しいですよ。私が買ったときは1枚2000円で売っていただけでしたが、96年末に新世界レコードを訪ねたときにはこの3枚が一パックになって5500円で店頭に置かれていた、ショック...。
(1997年初稿)
CD87047
めずらしいベルギー人作曲家による吹奏楽曲集。
リチャード3世序曲は、曲自体駄作ね。この曲をしょっぱなに持ってきちゃった意図がわかりません。試聴でこの1曲目聴いちゃったら、人によっては後に名演が入っていたとしても、わからずにこのCD買わなくなっちゃうんじゃないかなぁ。
アブシルの組曲は、彼の作品の中でも結構いいセンいってるんじゃないか、って感じ。基本的にはアブシル作品集CDの欄で述べている通りなんですが、この作品に限って言えば、やっぱり「ベルギーの吹奏楽作品」にチョイスされている価値はあると思います。
交響曲7番は1989年の作曲だけあって、ヨーロッパのローカル色よりも、普遍性(イコールアメリカナイズされた?)を備えた、吹奏楽をかじった日本人にはきっと耳になじみやすい作品。一楽章ごとも短いので、定期演奏会やコンクールの自由曲向きかな。
Dance Funambulesque(不勉強で訳せません)は1929年の曲で、一見(一聴かな?)むつかしい曲なのかななんて思わせておいて、実はその時代に合っている、なんか劇的陳腐な曲なのでありました(笑)。コーダは笑えます。それにしても、この曲のどこが「ダンス」なんだろう?
(1996年初稿)
チャイコフスキーの超有名な小品を集めた、お買い得な一枚。
1812年の冒頭、弦楽器がサクソフォーンになっている編曲は、至極まっとうなもので、このサックスも、なかなか“引き”の美学があって心地いいです。でもでも、全篇通して聴いてみて感じることは、どうしてもクラシックのアレンジものは、オケの原曲に比べてノリが悪いこと。うーん、チャイコはやっぱ吹奏楽でやっちゃいけないのかなぁ。どうしてもオケのイメージがあるボクは違和感を感じてしまうのです。「管楽器だけで、よくぞここまでこなした!」という思いはあるけど、これって、音楽聴いてるってこととは違うし...、むつかしいですね。
ロメジュリ、イタリアはまぁオケっぽさが出ているといえば出ているんですが、例えばオーマンディとフィラデルフィアのそれと比べてしまうと、やっぱ聴き劣りしちゃいます。スラブ行進曲に至っては、編曲の悪さ(ほんとに変!)と指揮者ノージ(写真参照)のセンスの無さが見えちゃって...。
クラシックのアレンジ物を吹奏楽でやることの楽しさを教えてくれると同時にクラシックの固定観念で聴くと弦楽器の重要さをも教えられる一枚。演奏自体はうまいから、アレンジ物吹奏楽コレクターには上物の逸品。
(1997年初稿)
CD87057
前述した、ベルギーの吹奏楽曲集の続きもの。1巻目に比べて、現代曲を集め、訳わからん度が増している。1曲目は、言ってみればファンファーレ。アメリカものレコードの冒頭がたいてい、コープランドの市民のためのファンファーレであるように(笑)、ベルギー版ファンファーレを冒頭に持ってきたんであろうか。これは失敗でした。言いたいことは1巻目に同じ。どうして「つかみ」を安直な曲(演奏)にしてしまうんだろうね。4曲目、GLORIEUSの「断章」は、ピアノと吹奏楽の作品。いい曲なのかどうかよくわからないが、ミキシング・録音は良好。
このCDで注目は、LOUEL の交響曲第4番。一応4つの楽章があるが、総時間10分25秒の小組曲。でも、興味をそそられるものが凝縮されている。演奏もナイスで、ちょっとお薦め。
(1997年初稿)
CD87058
イダ ゴトコフスキの作品集。CD87037も彼女の作品集なので、第2巻目といったところか。よっぽどヨーロッパでは人気があるのでしょう(知らないのはボクだけだったりして...)。
1曲目、彼女のファンファーレで幕開け、演奏がちょっと手抜きかなって感じで不完全燃焼。2曲目、スプリングシンフォニーは、4楽章で29分48秒の吹奏楽曲としてはちょっとした大作。第1楽章はいきなり大げさな深刻さで迫ってきて、「これのどこがいったい春なの?」と疑問符。第2楽章は茫漠感を感じたと思ったら終わってしまい、第3楽章でも、思春期から青年期に移っていく時にはしかのように誰もがかかる自己への不安感が、心の奥底からただ「なんとなく」湧き出てはゆらゆら漂っているのを音にしたようなもので、もう自殺寸前(笑)。でも、第4楽章では出だしから、もう元気いっぱいの変拍子これでもかこれでもかの出血大サービス。曲風が、なぜかクリフトン・ウイリアムズに似ているなと思ってしまうのはボクだけでしょうか。おーっ、そんなこんなで、力んでいるうちに終わってしまった、「いったい春はどこに?」(でもいい曲ですね)3曲目、ブリリアントシンフォニーは2楽章制も、十分に彼女らしさを表していて、どういうわけかやっぱり2楽章目にクリフトン・ウイリアムズの亡霊を見てしまいました(笑)。
このほか、合唱も入る「森の歌(23分12秒)」も入っていて、2,000円はお買い得!りきみの一枚。
(1998年1月4日初稿)
CD87075
ソロ楽器があって、バックにバンド演奏がある「協奏曲」ものは、自分の経験した楽器や興味がある楽器の方面しか案外聴かないもの。しかし、このCDに収録されているクラリネット、オーボエ(これは変奏曲ですが...)、トロンボーンは、いずれも結構有名どころを突いていて、かつわかりやすい曲なので、万人に好まれそうな、買って損のないCDのうちの1枚。ソリストたちもみんなよく頑張っていて、あまりクセを出さない標準的な吹奏は、没個性どころか、むしろバックの吹奏楽の伴奏と融和して、とても心地よい一体感を醸し出しています。
トロンボーン協奏曲などは、昔聴いたソ連のプレイヤーの野生味あふれるパワフルな独奏を思い出して聴いたら、全く性格が反対で、はじめはちょっと違和感を感じましたが、でも、なじむとそのやさしさが逆に曲をよく理解させてくれる親切な演奏だと、好感が持てるようになりました。
シェヘラザードも同じ組曲物で後述する「三角帽子」の演奏より技術的にも音楽的にも完成度が高く感じられ、ちょっとした「お手本」ものです。
(1997年初稿)
CD87076
なかなかの一枚。お決まりの「ファンファーレ(コープランド:市民のための〜)」で始まり、ラプソディー・イン・ブルーはさっぱり系。バーンスタインの3つのダンスエピソードもさっぱりしていて、ノージの指揮も冴えてるぞ!前述のスラヴ行進曲のセンスの無さは実はこれらの裏返しだったのだ!表裏一体、諸刃の剣(これがアメリカ的かは別として。)フェスティヴァル・ヴァリエーションまでさっぱりしているもんだから、この1枚を聴いた後には爽快感いっぱい。(ひとつ苦言を呈するなら、フェスティヴァル・ヴァリエーションのピッコロの奏でるテーマのところは、もっとドUPに聴かせてほしかった...)
教材用にお薦め。
(1997年初稿)
CD87096
ボクにはアブシルという人の作品のよさがあまり理解できません。どことなく冷たい響きのするオーケストレイション、水晶のような和声の使い方、曲終盤の詰めの甘さ。
おっと、面白いこと、発見しました。このCD7曲目のブルガリアンダンスからMaestoso、まるでロバート・ジェイガーの第一組曲のそっくりさんだ!どっちが先に作られたのかは知らないけど、似てるなぁ。
同じ曲のVivo(CD11曲目)の土俗的なメロディは日本の「さくらさくら」のようだ!エネルギッシュでノリがよく、うむを言わせぬコーダへの突入(笑)、曲の短さ(1分29秒)はアンコール曲にピッタリ!!
そんなわけで、アブシルを理解する人には素晴らしい1枚。演奏良好。
(1996年初稿)
CD87105
ガイド吹奏楽団の数あるナンバーのなかでも、このCDはお買い得度No.1ではないでしょうか。曲はメジャーどころを選んでおり、俗に言う、コンクールバンド向け教材用というやつでしょうか。表中の曲のほか、ベルリオーズ:序曲ローマの謝肉祭、ロッシーニ:泥棒かささぎ序曲、ワーグナー:タンホイザー序曲の全7曲。誉めてばかりじゃ、そこいらの提灯記事と同じになっちゃうから、ちょっと気になったところを書いてみますね。
祝典序曲の冒頭のファンファーレからクラの主題に入る前のクロマティックな和音展開のところで、ここの演奏は、どんどん加速していっています。いつかきっと誰かやると思ってたけど、まさかこんなところで出会えるなんて(笑)。ピッコロは目立つところで一発大間違いをしでかしてしまいました(これに限らず、プロって「こんなところで、なんで間違えるかなー」というようなミスを結構しでかしますよね)。ベルリオーズのコールアングレはなぜか音程が???これもヨーロッパの味と言うならそれで納得。イスの王様は吹奏楽でやるにはこれが限界なのかなぁ、ラロの味が仮死状態って感じ。ルイ・ブラスに関していえば、指揮者の解釈も???。ロッシーニはさっぱりしていてきれいな演奏(ロシアンディスクのところに書いてある、ロシア共和国吹奏楽団のそれより百倍うまい。)シチリア島は強奏のところでメロディラインが情けなくなってしまうという吹奏楽でアレンジものをやるときの弱点がモロ、編曲のせいでしょうか。ワーグナーのタンホイザーも96年末にNHK教育テレビでやったドイツの本物を見ちゃってから聴くと、どうも...。
全般的にガイドってフランスものはうまいけど、ドイツ方面はちょっと苦手なようです。
いろいろイチャモンをつけてしまいましたが、ボクが自動車運転中、一番よくかけるCDがこれ!結局、好きなんですね。
(1997年初稿)
CD87107
このCDの演奏もうまいです。同じ曲演奏してるんだったら、日本の吹奏楽団やイーストマンなんかよりこのベルギアンガイド吹奏楽団をお薦めします。
でも、ちょっとひっかかるなぁ、このCDを聴いていて。個々のテクニック、合奏力もグーなのに。やっぱり指揮者の責任なんでしょうか。この素人のボクでさえ、なんか整理不足だなぁって感じるんです。そういうところって、バンドの人たちも無意識のうちに楽だからそれに乗っかっちゃって、それが気になるんです。
三角帽子の終幕の踊りにそれが顕著なんです。きっとこの曲は、いろんなオケやら吹奏楽団の演奏を聴いているから、余計にそれがわかってしまうのかもしれません。アンセルメのそれを聴いて、テクニックではなく「味」の部分で比較すると...もうやめときましょう。ガイドのテクニックがいいだけに、本当に惜しい気がします。
(1998年1月4日初稿)